来ちゃいなよ。ゆざまち

在来作物「紫六片、嫁の顔」

2023-08-26

/ by kaori

 

\伝統野菜は地域の宝!/

遊佐の在来作物の「紫六片」と「嫁の顔」を紹介します。

遊佐町内にはどんな在来作物があるのか?スポットライトを当てたい、もっと知ってもらいたい!と作物に会いに行ってきました(^^♪

前回に続き、今回は「紫六片赤ニンニク)」と「嫁の顔もって菊)」を紹介します。

~番外編~ 伝九郎柿(庄内地方の在来作物)もありますヨ。前回の記事はコチラからどうぞ。在来作物「善吉菜、彦太郎糯」

 

遊佐町の在来作物は12種類。他にもあるかもしれません!

善吉菜、彦太郎糯、紫六片、嫁の顔、鳥海ウド、鳥海ウルイ、三尺ササゲ、トゲ無し栗、てんこ小豆、へあみ小豆、どうらく小豆、トラフ竹

 

庄内地方で広く栽培されている在来作物

カラトリイモ(里芋)、平核無(庄内柿 )、キクイモ、櫓ネギ、アサツキ、シャクシナ、もってのほか(食用菊)、ナツナ、平黒豆

 

庄内地方の在来作物は80種類以上。知っている作物はありますか?一部をあげてみます。

鶴岡市 だだちゃ豆、温海カブ、藤沢カブ、民田ナス、外内島キュウリ、早田ウリ、大滝ニンジン、藤島キモト、和カラシ、野良ダイコン、大宝寺柿、月山筍、他

酒田市 女鶴糯、紫折菜、鵜渡川原キュウリ、平田赤ネギ、升田カブ、せつだウメ、チヂミ菜、カツオ菜、ジンジキモト、他

庄内町 亀ノ尾(イネ)、黒神(青豆)

 

出典:山形在来作物研究会 会長 江頭宏昌
◇◇◇平成29年度「鶴岡市在来作物調査研究事業」報告書
◇◇◇庄内地域の在来作物マップ

紫六片 むらさきろっぺん

・紫六片の里、遊佐地区の平津新田集落で長年栽培されてきた。
・赤紫色の外皮のにんにく。粒が概ね6片に分かれていて一粒が大きい。
・香りが強く、にんにく本来のしっかりとした味で風味が良い。
・国内で広く栽培されているホワイト六片に比べて病気に強く、規格外品が少なく栽培しやすい。

 

全国各地に在来作物の赤にんにくがあります。最上赤にんにく(山形県最上地方)、八幡平にんにく(岩手県)、大鳥赤丸にんにく(山口県)など。
各地で継承されてきましたが、大玉で形の良いホワイト六片に変わり全国的に生産が減っています。近年は在来作物の良さが見直され、数が少ないながらも各地で栽培が続けられています。

遊佐地区 平津新田集落の畑

10月中旬 大きく形のいい粒を選び、芽が出る方を上にして一片ずつ植えます。機械で土をかけていきます。

4月 順調に生育中。

5月下旬 葉が茂り、にんにくも土の中で生育しています。(写真左)

6月中旬 花芽を摘んで養分が取られないようにします。(写真右)

7月上旬 収穫の時期を迎えます。先に葉をカットし、機械で掘り起こします。

立派なニンニクが収穫できました。暑い中の作業、お疲れ様です!

自然乾燥または乾燥機で、半月ほどかけて3割程軽くなるまで乾燥させます。

余分な茎や根を機械でカット。ベルトコンベヤ式でカットされて出てきます。

更に手作業でカットし、余分な外皮を取ります。この作業が大変とのこと。

袋詰めされ、消費者の元に届きます。手間暇がかかっています!

丹精を込めて作られた紫六片。美味しく頂きたいですね。

8月お盆頃~「道の駅 鳥海ふらっと」にて販売。ぜひ味わってみて下さい!

 

\生産者さんに聞いた、おすすめの食べ方/

・焼肉と一緒に焼いて食べる ・カレーに入れる(スライス、すりおろしでも) ・ラーメンに入れる(すりおろし) ・チャーハン ・パスタ ・にんにく醬油 ・アヒージョ

※にんにくの風味が濃いので、お好みで加減してみてくださいネ!

 

 

近年、平津新田集落より株を分けてもらった、蕨岡地区の水上集落、稲川地区の宮田集落などの若手の生産者さんが意欲的に栽培をしています。

蕨岡地区 水上集落の畑へ訪ねてみました!

10月中旬 定植作業。こちらでは手作業で土をかけていました。腰をかがめての大変な作業ですね!

7月上旬 にんにくが肥大化してきます。下葉が枯れてきたら収穫の目安。

腐るのを防ぐため、晴天が続く日に収穫します。この収穫のタイミングが大事なんだそう!見極めが難しいそうです。

一つ一つ余分な土を丁寧に落としていきます。

日よけのパラソルの下での作業。暑く大変ですが、皆さん笑顔でされていました。

 

生産者さんに話を伺った所、新たな作物の栽培を頑張っていきたいとチャレンジし、はじめは失敗もありましたが、少しづつ栽培を増やしていき、現在は収穫作業を9~10人で行っているとのこと。今年は大きくて良いにんにくが採れたそうです!

 

 

嫁の顔 よめのかお

・遊佐地区の藤井集落で栽培 ・自家用に1軒しか栽培していない
・紫色の食用菊。「もってのほか」の一種(もってのほかには様々な種類がある)
・花色が少し淡く、花頭中心部に鱗片が形成されないなどの特徴がある

 

参考:2015年度庄内地域在来作物振興プロジェクト事業報告書
◇◇ 遊佐地域の食用菊(山形大学農学部 准教授 小笠原宣好)

 

山形県は食用菊の生産量日本一(小菊を除く)。紫色の食用菊は、主に山形県と新潟県で食べられています。山形では「もってのほか」、「もって菊」、新潟県では「かきのもと」、「おもいのほか」と呼ばれています。

 

名前の由来が気になり生産者さんに聞いたところ、おばあちゃんから受け継いだが由来はわからないのだそう。昔は各地で様々な種類があったのかもしれません。

 

 

遊佐地区 藤井集落の畑

6月末 丈が伸びてきました。(4月頃に挿し木をします。)

10月末 花が咲き始めます。開いたら摘み取ります。(写真左)

11月初旬 あっという間に満開になりました。(写真右)

 

 

番外編~ 伝九郎柿庄内地方の在来作物

現在、庄内で柿と言えば庄内柿のことを言います。代表的な品種は、種がない平核無(ひらたねなし)。

それ以前に広く作られていた、旧藤島町長沼地域名産の伝九郎柿という柿があります。かつては庄内地方一円で栽培されていましたが、庄内柿が普及したことから、今はわずかしか残っていません。

 

その伝九郎柿が、蕨岡まちづくりセンターにありました。職員さんによると、昔は遊佐にもたくさんあった柿で、お風呂に一晩つけてから食べたとのこと。

熱めのお湯に8~9時間入れる「湯ざわし」という方法で渋を抜きます。しかし、表面が黒くなり、日持ちしないことから遠方へ出荷ができませんでした。また種があり、樹高が10m以上と高く収穫が大変、ということもあり次第に姿を消していきました。

蕨岡まちづくりセンター

今は誰も食べないので持って行っていいよとのことで、ありがたく頂戴しました。旧蕨岡小学校での授業で、干し柿にしていたことがあるそうです。

伝九郎柿は、庄内柿よりも形がいびつですが、甘さがあり、コクがある黒砂糖の様な甘さといいます。干し柿にしても上品な甘さで美味しいとのこと。

湯ざわしを試してみましたが上手くいかず、干し柿を作りました。甘さが増して美味しかったです。お近くに伝九郎柿があるかもしれません!皆さんも見つけたら、ぜひ試してみてください。

 

 

◇編集後記◇ ~遊佐の在来作物の生産者さんを訪ねて~

「紫六片」は、若い生産者さんも精力的に栽培をしていて今後の広がりが楽しみな作物です。

「嫁の顔」は、生産者さんが一軒しかわからず、また80歳代とご高齢のため、存続の危機に瀕している状況でした。

 

「へあみ小豆」を、蕨岡地区で自家用に栽培している方がいました。「へあみ」の意味は「手抜き」だそう。ほっといても勝手に実がなり、雑草に負けないツル性の小豆で、皮が固く胴割れしないので赤飯用に好まれ、あんこには向かないとのことでした。

 

「てんこ小豆」も藤井地区で自家用に栽培している方がいました。煮豆にして食べていて、甘納豆のような感じとのことでした。秋田でも栽培されていて、豆の色が黒いのだそう。

 

三尺ササゲ、どうらく小豆、トラフ竹は生産者さんがわかりませんでした。どんな作物なのでしょうか~。トラフ竹は虎斑状の斑紋がある竹で、美しい模様で装飾品やキセル等に使用されるそう。

 

今回の撮影を通して、在来作物が遊佐の生活、風土にしっかりと根付いて受け継がれてきたことを実感しました。

今後も遊佐の在来作物を知ってもらい、より多くの人に食べてもらいたいです。そして、食を通して遊佐ファンが町内外に増えていってほしいと思います!