遊佐の正月にアマハゲ降臨!
こんにちは、「ぺぃたん」こと白井駿平です!
久々の記事投稿になってしまいました…
そして遅ればせながら今回は、年始に実施された「アマハゲ」の様子をお届けします!

本年もよろしくお願いいたします!
※なお、過去にもアマハゲを取り上げた記事がたくさんありますので、併せてご覧ください。
┃アマハゲとは?
遊佐町の沿岸部北側、「女鹿、滝ノ浦、鳥崎」の3集落で続くお正月の伝統行事。
「アマハゲ」と呼ばれる神様の化身が集落の家々をまわり、人々の旧年中の怠惰や邪気を取り払うために、
「ケンダン」と呼ばれる藁蓑に包まれたその身体で大人子ども関係なくもみくちゃにしていく。
各集落の風物詩であり、集落の人々も心待ちにしている様子で参加していました。

お子さんとアマハゲとの対面を喜ぶ親御さんたち
┃集落ごとに異なるアマハゲ
実はこのアマハゲ、3つの集落それぞれに微妙に異なる部分があるんです。
アマハゲの実施日の順に、各集落のアマハゲの様子をご紹介します!
▶滝ノ浦(1月1日)
元日にアマハゲがやってくる滝ノ浦。
滝ノ浦のアマハゲの特徴は、そのお面。
女鹿と鳥崎のアマハゲは鬼のお面ですが、滝ノ浦では、翁面(おきなめん)をしています。

滝ノ浦のアマハゲの特徴、翁面
ただのおじいさんの顔でしょ?子どもが怖がったりするのか?
などと侮ったことを思っていたのですが、実際に翁面のアマハゲを目の前にすると、これが結構おっかない…。

得体の知れない雰囲気が畏怖の念を抱かせます
まとったケンダンで手足が見えないこともあり
”得体の知れない人外の存在”という雰囲気がすごく、
神様に形があるのならこのような姿なのでは?と思わずにはいられませんでした。
また、滝ノ浦のアマハゲは声を出さないのも特徴。
代わりに、周りの人が家の外で太鼓と鈴を鳴らし掛け声を出して、アマハゲの動きを誘導します。

太鼓と鈴と声でアマハゲを先導します
太鼓と鈴の音とともにアマハゲが勢いよく家に入り、無言で体を大きく震わせながら家の中を駆け回って、人々をもみくちゃにしていきます。
最後は「ゆっ」という独特の掛け声に誘われてゆっくりと家を後にするのでした。
▶女鹿(1月3日)
続いてアマハゲがやってくるのが、1月3日の女鹿集落。
女鹿のアマハゲは滝ノ浦に比べてその数も多く、種類も実は大きく3種類存在しています。

左から、鬼(赤、青)、じんじ(赤、黒)、そして”ガンゴジ”の3種類があります
集団の先頭を率いる赤鬼はベテランの方が、”芸達者のガンゴジ”は若手の方が役割を担うとのことでした。

厳めしい雰囲気で集団を先導する赤鬼

ガンゴジは、家の方に求められると歌を一曲披露します
滝ノ浦のアマハゲとは異なり、女鹿のアマハゲは、高い声で奇声をあげながら家々を回ります。
無言でたたずむ滝ノ浦のアマハゲも恐怖心をあおるものでしたが、
奇声を上げながら鬼が迫ってくるのも、なかなか怖いものでした。
また、滝ノ浦との大きな違いとして、アマハゲが訪問すると日本酒をおちょこ1杯分ごちそうする(お供えする)風習が女鹿にはあります。

おちょこ1杯、お神酒をお供え
その時間は、神様と人間との神聖な交信の場でもありつつ、
集落の年中行事として人々の息災を確認する交流の場としても機能していたことが印象的でした。

集落の人々の息災を確認するのもアマハゲの役目
▶鳥崎(1月6日)
アマハゲの最後を締めくくるのは、鳥崎です。
が・・・
私、今回は所用につき、鳥崎のアマハゲを実際に見に行くことができず…(泣)
トミーさん(早坂隊員)とりっきー(渡辺力隊員)が撮影してくれた写真と動画で、その様子をお届けします!

赤い鬼面を使用します。同じ鬼面でも、女鹿のものよりも人間に近い顔ですね(撮影:早坂豊美隊員)

人間に近いと言えど、その目つきは紛れもなく鬼のそれ…(撮影:早坂豊美隊員)
お面だけでなくケンダンも、編み込みから藁がはみ出す幅や1枚の長さなどその造りに違いが表れていて、
その分ケンダンの着こなしも異なっているのが興味深いですね。
(今回なんと、鳥崎のアマハゲのケンダン作りを見学をさせていただけたので、
その様子は別の記事にて改めて紹介します!)
(撮影:早坂豊美隊員)
お部屋に上がる前に一礼するという所作が特徴的ですね。
そんな礼儀正しいアマハゲも、その後は容赦なく子どもたちをもみくちゃにしていきます。
(撮影:早坂豊美隊員)
小さなお子さんは、こんな表情でその恐怖を訴えかけていました。

必死の表情で助けを求めるお子さん。(撮影:早坂豊美隊員)
そして、鳥崎のアマハゲで忘れてはいけないのが、「鳥追い」と「ホンデ焼き」という行事です。
(撮影:渡辺力隊員)
鳥崎の家々を回ったあと、湯ノ田集落まで約1kmの道をアマハゲが歩いて回る「鳥追い」の行事。
田畑を荒らす害鳥を追い払い豊作を祈るという意味があるのだそう。
鳥追いが終わると、アマハゲが集落の神社の裏手にある竹林に集まってきます。
そこで行われるのが「ホンデ焼き」の行事。
神様であるアマハゲを天に返す意味を込め、
家々から集めた正月飾りなどと一緒に、アマハゲのケンダンを燃やします。
(撮影:渡辺力隊員)
お正月の神事を締めくくるにふさわしい神秘的な雰囲気を感じますね。
いかがでしたでしょうか。アマハゲの雰囲気を味わっていただけましたでしょうか。
実はこのアマハゲの行事、遊佐町に住む人でも、滝ノ浦、女鹿、鳥崎以外の集落に住む人は
ほぼ目にする機会がないそうです。
遊佐町の「集落」としての結束の強さを感じますね。
そんな貴重な伝統行事を見学させてくださった集落のみなさん、本当にありがとうございました。
なかなか目にすることのできないアマハゲの様子を、みなさんにも楽しんでいただけたら幸いです。
(文・注釈のない写真:白井駿平)