このご飯、何の水?

2026-01-08

/ by toyomi

こんにちは。湧水ハンターのトミーです。

今回、「ゆざ湧水学習会2025」第1回として、協力隊の仕事で初めて白井君と一緒に、
湧水とさまざまな水で炊いたご飯の炊き比べ実験を行うことにしました。

遊佐町には、鳥海山の恵みによって生まれた湧水が、町のあちこちに湧いています。
その湧水がどこから来て、どんな特徴を持っているのか。
そして、水が変わると「味」はどう変わるのか。

そんなことを、見て・感じて・食べて体感してもらえたらと思い、今回の企画を考えました。

今回は、子ども向けの湧水学習会として開催することを最初に決めました。
難しい言葉や数字で説明するのではなく、

「なんか違う」
「こっちの方が好き」

そんな感覚や味の記憶を大切にしてもらえたらと思い、
町内の分かりやすい湧水を飲み比べしてもらう準備を行いました。

当日に準備した水は、全部で4種類です。

1つ目は、フランス産のミネラルウォーター「コントレックス」。
2つ目は、高瀬まちづくりセンターの水道水。
3つ目は、三ノ俣に湧く「鳥海三神の水」。
4つ目は、酒田市在住職員宅の水道水です。

今回は、この4種類の水を使い、
同じお米・同じ量・同じ炊き方という条件をそろえてご飯を炊き、
味や食感の違いを比べていきます。

水が変わると、ご飯はどんなふうに変わるのか。
子どもたちは、どんな言葉でその違いを表現してくれるのか。
今からとても楽しみでした。

当日、参加してくれたのは親子3組と、大人1名。
総勢8名で、ご飯炊き比べの実験がスタートします。

準備としては、条件をそろえるためにお米は無洗米に加工し、
それぞれ4種類の水に、前日の夜から浸水させておきました。

そして、いよいよ学習会のはじまりです。

まず、「湧水ってなに?」というところから、小さい子どもたちに説明した方がいいのか、少し悩みました。
言葉で説明すると難しくなりがちですし、地層や地下水の話をしても、子どもたちにはなかなか想像しにくいかもしれません。
どう伝えたら、楽しく、分かりやすく、イメージしてもらえるだろうと考えていました。

そんな時、白井君が
「クリスマスケーキを鳥海山に見立てて説明してみたらどうでしょう?」
とアイデアを出してくれました。

スポンジやクリームが何層にも重なったケーキの中を、水がゆっくり通り抜けていく様子を思い浮かべながら話すことで、難しい地層の説明をしなくても、
「雨や雪が山にしみこんで、山の中を通って、外に出てくる」
という湧水の仕組みが、自然とイメージできる方法でした。

ケーキの上からしみこんだ水が、下の方でちょろっと出てくる。
その様子を想像しながら話を聞く子どもたちの表情を見て、
分からせるよりも、思い浮かべてもらうことの大切さを、改めて感じました。

子どもたちにも楽しみながら湧水を知ってもらえる、とても素敵な工夫だなと感じた瞬間でした。

炊飯中には、遊佐の代表的な湧水も試飲してもらいました。
神泉の水、胴腹滝、丸勝の水、落伏清水の4種類を飲み比べし、それぞれの味の特徴を感じてくれていたと思います。

それをベースに、用意していたA・B・C・Dの水出し紅茶と昆布だしも試飲してもらいました。
子どもたちには、紅茶も昆布だしも少し刺激が強かったようで、
これもまた、新たな工夫を考えていく必要があるなと感じました。

4種類の水で炊いたご飯が、いよいよ炊きあがりました。
ふたを開けてみると、よく見ると炊きあがりの色やつやが、少しずつ違うようにも見えます。

それぞれのチームごとに、ご飯を混ぜてもらい、炊きたての香りを確かめてもらいました。
「見た目は同じ?」
「なんかこっち、白い気がする」
そんな声も聞こえてきます。

その後、別室へ移動し、4種類のご飯の食べ比べを行いました。
果たして、味の違いは感じてもらえるのか。
子どもたちの反応に、こちらもドキドキしながら見守る時間となりました。

色ごとに分けたお皿にご飯を盛り付け、皆さんで「いただきます。」
少しずつ盛られたご飯を、それぞれ口に運んでいきます。

味の違いは感じているものの、表情はどこか難しそう。
「うーん……」と首をかしげる子もいて、なかなかの難問だったかもしれません。
湧水で炊いたご飯の違い、分かってもらえたかな……と、こちらも内心ドキドキです。

それでも、食べ進めるうちに、子どもたちは最後にはモリモリとご飯を食べてくれていました。
その様子を見て、これだけでも大成功だったのかもしれないと感じました。

今回の「ゆざ湧水学習会2025」は、
湧水を“知識として学ぶ”のではなく、“体で感じる”ことを大切にした学習会となりました。

水の成分や数値を説明しなくても、
ご飯の炊きあがりの違いや、口に入れたときの食感、
「なんか違う」「こっちが好き」という素直な言葉の中に、
水がもつ個性や役割が、確かに表れていたように感じます。

特に、クリスマスケーキを鳥海山に見立てた説明は、
子どもたちが湧水の仕組みを想像しながら理解するきっかけになりました。
分からせるための説明ではなく、
思い浮かべてもらうことで伝わることがある——
その大切さを、改めて実感する場面でもありました。

ご飯の食べ比べでは、はっきりとした正解が出たわけではありません。
しかし、同じお米・同じ炊き方でも、水が変わると
「色が違う」「口当たりが違う」「迷う」という反応が生まれたこと自体が、
この実験の一つの成果だったと思います。

湧水で炊いたご飯が分かったかどうかよりも、
水によって味や感じ方が変わることを、自分の舌で考えたこと。
その経験が、今日一番の学びだったのではないでしょうか。

今回の学習会を通して、
子ども向けの湧水学習では
・刺激の少ない試飲方法
・言葉に頼らない伝え方
・「正解」を求めない体験設計
といった工夫が、今後さらに大切になることも見えてきました。

まだまだ試行錯誤の途中ですが、
遊佐町にある湧水の魅力を、
「楽しかった」「またやりたい」という記憶と一緒に残していく。
その第一歩として、とても意味のある時間になったと感じています。

by トミー