鮭の稚魚放流会
もうすぐ春がやってきます。今年も鮭の稚魚が旅立つ季節がやってきました!
「鮭の稚魚放流会」2/27(日)で稚魚を放流してきました。毎年2月末に、遊佐町の移住者交流会で開催されています。
(移住者交流会:NPO法人 いなか暮らし遊佐応援団が遊佐弁や冬支度の会で遊佐の暮らしのいろはを教えてくれたり、トレッキングや鳥海山登山の会などを開催しています。移住後の情報交換など交流ができ、私も移住者の一人として和気あいあいと毎回楽しく参加しています。)
放流会を行う「枡川鮭人工孵化場」は、豊富な湧水が流れる鳥海山の麓の集落にあります。鮭を捕獲し稚魚を大切に育て放流しています。写真の奥に見える山が鳥海山です。(写真は7月撮影)
遊佐町を流れる月光川の流域は本州有数の鮭の遡上地で、山形県内では捕獲数の8割が遊佐町なんだそう!新鮮な水を求めて、鮭が産卵しに帰ってくると言われています。
この枡川集落を流れる滝淵川にも毎年遡上しに来ます。集落では「米作り」3月~10月、「鮭のふ化事業」を9月~3月を行っています。鳥海山の湧水の恵みですね。
10月~12月に鮭が遡上してきます。(11月撮影)
滝淵川のきれいな水の中を、力を振り絞って泳いでいる鮭たち。中々うまく写真が撮れず。^^;
猫も気になる様子で・・・川面を見ていました(=^・^=)
「枡川鮭人工孵化場」 明治時代から100年以上、人工孵化事業を行っています。米が不作の年でも安定した暮らしをと私財を投じ始めたそうです。
当初の遡上数は乱獲などもあり10尾程度だったそう。だんだんと捕獲数が増えていき、昭和5年には2,000尾、昭和50年には18,200尾になっています。先人のたゆまぬ取組みが伺えますね。
参照Web:枡川鮭漁業生産組合 http://masukawa-salmon.com/
飼育池でのびのびと泳ぐ、大切に育てられた稚魚たち。4~5カ月で体長5~7cm、体重1g~3gほどに成長します。
この時点で、丈夫な親鮭になるかどうかがもう決まっているといいます。元気に育ってね。
1日2回の餌やりタイム。食欲旺盛ですぐ食べてしまうそう。ちなみにこのひと枠に70万尾いるそうです。
水面から顔を出してるのがかわいい~。浮いている餌を食べていますね。
枡川鮭漁業生産組合の尾形組合長から孵化場や稚魚について教えて頂きました。
2016年に最新式の施設となり、北海道からアドバイスを受け設計し、よりストレスを与えず効率的に稚魚を育てることができるようになったそうです。
育った鮭も順調に戻ってきており、鮭の遡上数が少なかった県内の地域や、太平洋側の岩手県や宮城県などにも卵を分けたり、加茂水族館に稚魚を提供たりしているそうです。
合計で1,000万尾もの稚魚を放流。遊佐町には他に箕輪と高瀬川にも孵化場があり、孵化場の全合計の放流数は2,000万尾以上となるそうです。実際に戻ってくる鮭は、なんと0.3~0.5%位なんだそう。
漁業について考える内容も。例えば、魚を獲るのにどれだけの燃料が使われているか、養殖の餌はどこからきているのか。魚の食べない部分を魚粉化して餌にしている所もある。
お話しを聞いて、そういったことも配慮していく必要があることを感じました。
世界でも有数の漁場がある日本ですが、現在不漁になっている。その原因を捉え危機感を共有していかなければならない。というお話もありました。
気になって調べてみると、世界の漁獲量は増えているのに日本は減っている状況でした。知らなかったとはいえ考えさせられました。海の資源を大切にしていかなければなりませんね。
他にも、漁業の人手不足や高齢化、未利用魚(市場に出回らない)を廃棄するのではなく活用していく方法など、色々と取り組んで行く内容があることに気付かされました。
いよいよ鮭の稚魚を迎えに行きます。
飼育池からバケツに移していきます。
鈴木隊員もわくわくの初放流!
せ~~ので放流!!行ってらっしゃ~い
実際に飼育池から放流している様子を見せてもらいました。写真上の足元の下が水路になっていて、先程放流した川につながっているそう。
水路へと進もうとしている稚魚たち
滝淵川を徐々に進んでいきます。
この一面の田んぼ(雪でおおわれていますが)の脇を、日本海へと流れて行きます。
箕輪鮭孵化場がある牛渡川(左奥)と合流します。(写真奥は鳥海山です)
さらに吹浦川(手前)と合流。晴れているとこんな感じで鳥海山が見えます。(1月撮影)
河口に到着です。一晩かけてここまでたどり着くそうです。稚魚たちの大冒険ですね!
そして日本海を北上していき、北海道の上のオホーツク海へと旅立ちます。その後さらにアメリカ方面へと移動し、ベーリング海、アラスカ湾を周遊し成長。約4年後に生まれた川へと戻ってきます。
遊佐まで戻ってくる途中の、北海道で鮭が捕獲されているそうです!産卵までの栄養分を蓄えているその鮭は「メジカ」と呼ばれ、脂肪分が多く美味しいんだとか。数千本に1本の希少魚で高級魚なんです。
なんと北海道生まれの鮭ではメジカにならず、日本海沿岸生まれの鮭でないとならないそう!そのこともあり、遊佐町では北海道と連携して孵化・放流事業を行っているんです。将来、メジカが増えるのも楽しみですね。
鮭の捕獲の様子、メジカについては過去記事からどうぞ まるごといただく遊佐の秋 鮭&メジカ