まちめぐりパークで発見!磨いて感じる湧水の輝き
気がつけば予定を詰め込みすぎて、息継ぎなしで泳ぎ続けた5月。そろそろ岸に上がりたいTommyです。
ある晴れた日のこと。、気がつけばビニール手袋をはめ、長靴を履いて、手にはスポンジとブラシ、背中には妙な使命感を背負っておりました。そう、まちめぐりパークの湧水箇所の清掃です。メンバーは……私一人。急な思いつきだったので、当然ながら誰にも声をかけていません。完全なるソロ活動。誰も知らない、誰も来ない、孤独の「ひとり湧水まつり」堂々開幕です。
『鳥海山に降り注ぐ豊富な雨や雪は、遊佐町に多くの河川や清水(湧水)、井戸水をもたらしています。なかでも遊佐元町地域には、ポンプを使わずに自然に地下水が湧き出す自噴井戸が数多く存在し、その数は300か所以上。推定湧出量は1日あたり約4,200トンにもなり、こうした水は古くから人々や生き物の営みを支えてきました。元町の湧水をめぐりながら、その恵みと豊かさを感じてみてください。
(※「ゆざ湧水散歩」パンフレットより引用)』
そんな遊佐元町の湧水をピックアップして整備された「まちめぐりパーク」には、鳥海山の伏流水が地下から湧き出す井戸が14か所あります。
(※現在、②光月堂の水、⑧六日町の水は湧出を停止しています。)
どの井戸も、それぞれに昔話が宿っているかのような趣があり、まるで小さな「湧水博覧会」。湧き方や流れ方にも違いがあり、ひとつとして同じものはありません。その個性こそが魅力であり、日々の掃除や手入れにも自然と気持ちが入るというものです。
(①はっこちゃの水 Bifore)
まずは苔との格闘。ぬるっとすべる足元に緊張しつつ、ゴシゴシこすってもなかなか手強い。そこへ追い打ちをかけるのが、止まらぬ湧水のバシャバシャ攻撃。「ちょっとだけ止まっててくれない?」と心の中でつぶやきながらも、相手は一向に休む気配なし。気づけば私も全身びしょ濡れ。湧水との真剣勝負に、つい笑いがこぼれました。
(①はっこちゃの水 After)
中には、なぜかやたらと虫の集まる井戸が一つ。この一帯だけ、まるで遊佐町虫会議が開催中のようで、私の掃除の手を完全に無視して盛り上がっておりました。こっちは命がけで葉っぱを除去してるのに、向こうはのんびり日向ぼっこ。人間の努力なんて、虫たちにとっては無関係なんですね。
(③七日町の水 Bifore)
掃除中は基本無言。いや、誰もいないので、しゃべっても虚空に響くだけです。でも不思議と寂しくないんです。湧水の音が話し相手。じわじわと地中から水が湧き出す音に耳を澄ませば、都会の喧騒よりよほど贅沢なBGMです。
(③七日町の水 After)
それでも、ひとつ掃除が終わるたび、「よし、ひと井戸クリア」と達成感を噛み締める私。草をむしったあとの井戸から水がいっそう元気に湧き出すと、なんだかこちらまで元気になるから不思議です。誰にも気づかれないけど、きっとこの水を使ってくれる誰かのために。見えない善意を、こっそり仕込むような気分です。
(④なごみの水 Bifore)
と、気分よく井戸の縁に腰を下ろしたその瞬間。ズボンのお尻に冷たい感触が…。ええ、見事に濡れた石に座ってしまいました。「うひゃっ!」と声を上げた私を見ていたのは、虫だけ。これが本当の“冷や水を浴びせられる”というやつかと、尻を押さえながら苦笑い。
(④なごみの水 After)
そんなこんなで、清掃作業は無事終了。最後は両手に軍手、足元に泥、顔には汗とほこり、そしてちょっぴり誇らしげな笑顔。誰にも頼まれていないけど、やってよかった。こんなふうに、水の恵みにほんの少しでも恩返しできた気がします。
帰り際に見た白いカラー。綺麗で癒されました。
次回は、仲間を募って「第2回・湧水まつり清掃部門」を開催したいところですが、果たして参加者は現れるのか…?せめて腰に優しいベンチくらいは設置しておきたいところです。 BY tommy