来ちゃいなよ。ゆざまち

やさら行事 わら人形

2022-04-08

/ by kaori

 

遊佐町の3つの集落では、毎年4月初めに「やさら」という行事を行います。家族や村内の安全を願い、わら人形に災いを託して、疫病や災厄の退散を祈る伝統行事です。

 

高瀬地区の樽川、中山集落:“八皿”人形をそれぞれの家で一体作成。子供たちが主体で行い、子供の成長を願う意味もある。

 

蕨岡地区の平津集落:巨大な“弥皿”人形を神社に集まり一体作成。若者たちが主体で行い、元服を意味する行事とも言われる。

 

集落によって違いがありますが、それぞれ伝承されてきた地域に密着した豊かな民俗行事で、昔は他の集落でも行われていてそれぞれ異なり、個性があったそうです。

 

今回は、高瀬地区の樽川集落のやさら行事を紹介します。

 

(高瀬地区・・・町の北西部。北に洗沢川、南に高瀬川と鳥海山からの清流が豊かに流れ、続く平野には田んぼが広がり豊かな稲が実ります。

洗沢川沿いには中山河川公園の桜並木、高瀬川沿いには鮭採捕場、滝渕川沿いには鮭人工孵化場がある。)

洗沢川を挟んで北に中山集落、南に樽川集落があります。南側の田んぼから見た樽川集落。

この日は晴れて、鳥海山が望めました。

中樽橋から見る洗沢川

樽川、中山集落では毎年4/4に行い、八皿人形を集落の外れまで運び、厄送りとして樽川では洗沢川に流し、中山では土手に人形を立てます。

橋のたもとに降りてみました。鳥海山からのきれいな水が流れています。

集落にある皇大神社に寄ってみました。

神社から洗沢川の土手と鳥海山が見えました。手前にばんけ(庄内地方でふきのとうのことを言います)が咲いていました。

近くに椿も咲いていました。

前もって八皿人形を作るとのことで見せてもらいました。頭に椿の花かんざしが。とてもかわいいわら人形です!私が子どもだったら遊んでいたな・・・(^^♪

家内安全、無病息災の願いを込めて一軒に一体の人形を作ります。

父親が作っているのを見て覚えたそうです。丁寧に教えて頂いた菅原さん、どうもありがとうございました。

まずは、わら選り(すぐり)の作業。稲の茎から葉を取ってきれいに揃えます。

写真左:稲の上の方を持ち、葉を取ります。昔はこの溜まったわらくずを「わら布団」にしていたそうです!暖かいんだそう。稲わらのいい匂いでぐっすり眠れそうです。

写真右:揃った稲わら

人形の頭やお腹に巻く縄を作ります。

写真左:木づちでわらを叩きます。わらを柔らかくして作りやすくします。

写真右:縄ないをしているところ。これぞ名人の技!

続いて、人形を作ります。

写真左:わらの中央を結び、木づちで叩きます

写真右:結んだところから、わらを手前に折っていき、頭を作ります

写真左:だいぶ折ったところ  写真右:全て折ったら、首の部分に縄を結びます

腕になる部分を調整して、三つ編みにします。

手ができると人形っぽくなってきました!なんかもうこの時点でかわいいです。

写真左:お腹の部分にわらを入れて膨らませます  写真右:お腹を縄で結びます

お腹を膨らませるなど手が込んでいますね!一見気付きませんでしたが、丸みが出てより人形らしくなっていました。

足になる部分を調整して、わらで結んでいきます。

完成に近づいてきました。写真右:前掛けを作っていきます

前掛けを作ったら、不要なわらを切ります。

頭にはちまきを縄で巻いて、人形部分の完成です!

最後に人形が背負う、わらつとを作ります。

写真左:わらを折って結びます  写真右:縄ないをして背負い紐を作ります

両方作り、人形に背負わせて完成です!!

行事当日に、ご馳走をわらつとに詰めて弁当として背負わせるそうです。

4/4(月)の夕方より行事が行われます。樽川集落から見た西側の日本海方面。遠くにクロマツ林が見えます。

曇りなのに珍しく鳥海山が見えています。八皿人形にご馳走を詰めるところから参加させて頂きました。

神棚に八皿人形を飾って、ご馳走のお膳とお酒をお供えし、家族で一年の無事を祈ります。

ご馳走は旬のものや、ニシン、ご飯、味噌汁など家によって様々です。

一品ごと少しづつ、わらつとに詰めます。

わらで包み、縄で結んで、人形に背負わせます。

頭に椿の花かんざしを挿し、鉢巻は頭の病気、腹帯はお腹の病気を防ぎ、前掛けは護身用と言われています。

玄関でお酒を人形の頭にかけて出発です。

集落の中央部に集まります。

竹棒に刺した人形を手にした皆さん

それぞれの家で作られた個性ある八皿人形がお目見えです!とーってもかわいいので撮影させて頂きました。

猫に遊ばれて引っ掛かれちゃった、、とういう人形もいて、みんな違いがあって味わい深い素敵な人形でした!

太鼓と鉦に合わせて「やっさら人形、おっぐ(送)んぜ どこまで、おっぐんぜ さんどしま(佐渡島)までおっぐんぜ」と唱えながら洗沢川まで人形を運びます。災いを人形に背負わせ、災いの全てを川に流します。

以前は子どもたちが太鼓と鉦も叩いて、八皿人形をかつぎたいとみんな楽しみにして行っていたそうです。

現在は子どもがいなくなり、集落の皆さんで行っています。こうやって集まってする伝統行事があるっていいですね。

集落の外れまで来ました。

手前にばんけが咲いていました。

土手を登っていきます。

直世橋の下をくぐったところで川に流します。

人形を竹棒から外して、「いーろんのしょっ」と声をかけ、

いっせいにぽーんと川に投げ、手を合わせて拝みます。

今年一年を無事に過ごせるよう祈ります。

流れていく八皿人形

日本海へと旅立っていきます。

無事送り出し、家へ帰る皆さん

代々伝わってきたやさら行事。皆さんが大切にされていることが伝わってきました。

 

 

 

 

蕨岡地区の平津集落の“弥皿”人形の写真を見せて頂きました。こちらの人形は迫力がありますね!!(平津では、新型コロナウイルス感染症予防のため、2020年から神社での神事のみが行われています。)

 

例年4月の第一土曜日に行い、厄災、病気などを人形に背負わせて村の外に払い、村内安全を祈願します。

神社に集まって高さ2mを超える巨大な弥皿人形を一体作ります。夕方に神社でご祈祷をし、夜に若者たちが「やさら、やさら」と叫びながら人形をかついで村内を巡ります。以前は厄送りとして川に流しましたが、現在は焼いています。

 

今も残る3集落のやさら行事、大切に伝えていきたいものですね。

写真を提供いただいた菅原さん、ありがとうございました。